内分泌かく乱化学物質とは、体内の内分泌系に干渉し、人や動物の発達、生殖、神経、免疫の障害を引き起こす化学物質です (1, 2) 。多くの日常的な家庭用品には、これらの内分泌かく乱化学物質が含まれています。これには、金属缶やプラスチック製食品容器から溶出するビスフェノールA、玩具などの消費財から溶出する可塑剤、衣類や化粧品に使用されるさまざまな難燃剤や医薬品化合物が含まれます。
水中の EDC の発生源には、産業廃棄物の河川への排出、農業用水の流出、大気沈着、地表流出、土壌浸出液などがあり、これらはしばしば地表水や地下水を汚染します。従来の排水処理方法では排水からEDCを十分に除去できない可能性があるため (3) 、水域にEDCが存在する可能性が現実的に考えられます (4-5)。
数多くの研究で、さまざまな濃度のEDCが水生生態系に悪影響を及ぼすことが報告されています。EDC に関連する生殖障害の報告もあり (6-7) 、水の摂取を通じたEDC曝露に対する懸念が高まっています。
LC-MS/MS: 水中のEDCを特定し定量するためのゲートウェイ
EDC の潜在的な影響を考慮すると、これらの化学物質は、規制当局と一般の人々の両方にとって新たな懸念のある汚染物質 (CEC) となっています。LC-MS/MSアプローチを活用することで、以下のような特長を持つ高感度な水中のEDCの特定と定量が可能です。
- 感度: 簡素化されたサンプル前処理を活用して、すべての化合物に対して 3 ~ 4 桁の線形範囲で、複数の化合物クラスにわたってppt(1 兆分の 1)レベル の検出限界を実現します。
- 選択性: 強力な液体クロマトグラフィーを使用して EDC の複雑さに対処し、目的の分析対象をマトリックスから分離して正確な定量を行います。
- 選択性: 二次フラグメンテーション (MS/MS/MS) を利用して、異性体やバックグラウンドイオンによるクロマトグラフィー干渉を除去し、非常に特異性の高い測定を実現します。