臭素系難燃剤(BFR)

臭素系難燃剤 (BFR) を含む残留有機汚染物質 (POP) が環境に及ぼす影響を評価するには、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法 (LC-MS/MS) などの感度、選択性、特異性に優れた手法が必要です。

臭素系難燃剤 (BFR) は、建築材料、家庭用品、繊維製品の可燃性を低減するために使用される工業用化学物質の一種です。これらの化学物質は、空気、雨、河川水、魚、動物、人など、さまざまな環境マトリックス中に低濃度で残留します 1-4。 いくつかの研究により、BFR が重大な健康への悪影響を及ぼす可能性があることが示されています 5,6 。疫学研究では、ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE) とヘキサブロモシクロドデカン (HBCD) が甲状腺ホルモンの恒常性の乱れや慢性的な神経毒性を引き起こすことが確認されています 6,7

特に屋内では、その偏在性により、ほこりや生体物質がPBDE や HBCD の蓄積場所となっています。この証拠により、欧州連合のREACH規則の付属書XIVが制定され、カリフォルニア州ではペンタブロモジフェニルエーテルとオクタブロモジフェニルエーテルの配合が禁止されました。

これまで、環境サンプル中の PBDE や HBCD などの BFR の分析には、ガスクロマトグラフ質量分析計 (GC-MS) が使用されていました。しかし、この手法は部分的にしか成功していません。高温により、臭素化度の高い PBDE 同族体の熱分解と HBCD の異性化が起こるためです。

LC-MS/MSの違い

LC-MS/MS は、環境中の多くの化学工業汚染物質を監視できるため、PBDE および HBCD の測定にますます使用されようになってきています。LC-MS/MS は、以下の特徴を備えているため、臭素系難燃剤分析に最適です。

  • さまざまな化学物質群を分析できる柔軟性
  • 水や土壌、植物、繊維など、さまざまなサンプルの取扱いにおける頑健性
  • これらの優先的な工業用化学汚染物質を非常に低濃度で定量できる感度
  1. Öberg, K.; Warman, K.; Öberg, T. Distribution and levels of brominated flame retardants in sewage sludge. Chemosphere 2002, 48(8), 805–809. doi: 10.1016/s0045-6535(02)00113-3
  2. Watanabe, I.; Kashimoto, T.; Tatsukawa, R. Polybrominated biphenyl ethers in marine fish, shellfish and river and marine sediments in Japan. Chemosphere 1987, 16(10-12), 2389–2396. doi: 10.1016/0045-6535(87)90297-9
  3. Meironyte, D.; Noren, K.; Bergman, A. Analysis of polybrominated diphenyl ethers in Swedish human milk. A time-related trend study, 1972-1997. Journal of Toxicology and Environmental Health, Part A 1999, 58(6), 329–341. doi: 10.1080/009841099157197
  4. Wit, C. A. An overview of brominated flame retardants in the environment. Chemosphere 2002, 46(5), 583–624. doi: 10.1016/s0045-6535(01)00225-9
  5. Lyche, J. L.; Rosseland, C.; Berge, G.; Polder, A. Human health risk associated with brominated flame-retardants (BFRs). Environment international 2015, 74, 170–180. doi: 10.1016/j.envint.2014.09.006
  6. Kim, Y. R.; Harden, F. A.; Toms, L. L.; Norman, R. E. Health consequences of exposure to brominated flame retardants: A systematic review. Chemosphere 2014, 106, 1–19. doi: 10.1016/j.chemosphere.2013.12.064
  7. Alaee, M.; Wenning, R. J. The significance of brominated flame retardants in the environment: Current understanding, issues and challenges. Chemosphere 2002, 46(5), 579–582. doi: 10.1016/s0045-6535(01)00224-7

空気と比較して、GS1 および GS2 に窒素を使用した場合の PBDE 同族体の感度の向上。

X500R QTOF システム

この使いやすい精密質量分析計は、SWATH Acquisition のパワーを利用してデータをより速く分析します。

詳しくはこちら
SCIEX OS ソフトウェア

このオールインワンソフトウェアは、データの取得、処理、解析、さらにはレポートの作成まで行えます。

詳しくはこちら
QTRAP システム

トリプル四重極システムの MRM 感度を使用して、さらに優れた同定と定量を実現しましょう。

詳しくはこちら
ExionLC AC システム

このシステムのモジュール設計をベースに、ラボのアプリケーションや分析の幅を広げましょう。

詳しくはこちら