液体クロマトグラフィータンデム質量分析（LC-MS/MS）とスペクトルデータベースを用いたサスペクトスクリーニングまたは未知化合物のサーベイランスにより、存在は分かっているが同定されていない、いわゆる「既知の未知」化合物を自信を持って確認することが可能となります。

水中の環境汚染物質のモニタリングは、飲料水の安全性および環境由来毒素への曝露が存在しないことを保証するために極めて重要です。環境試験ラボにおいては、汚染物質が規制許容範囲内に十分に収まっていることの確認も重要です。

環境中には極めて幅広い種類の化学的毒素、農薬、医薬品および工業化学物質が放出されるため、これらを迅速に同定および定量するためには、広範囲にわたる未知化合物のサーベイランスを可能にする包括的な技術が必要です。

しかし、数千種類を超える既知の汚染物質および新興汚染物質に起因するヒトおよび生態学的リスクの適時の特性解析は以下の理由から困難です。

• 未知または予想されていない多くの汚染物質が存在する
• 分析グレードの標準物質が入手不可能な場合がある

これらの問題によりターゲット法の有効性が制約される可能性があります。

LC-MS/MSは、環境中に潜む化学物質の先見的なスクリーニングおよび検出を可能にします。 

サスペクトスクリーニングにより、分析グレードの標準物質を必要としない、スペクトルライブラリーまたは特性化された化合物のデータベースに対する検索が可能となるため、環境試験ラボでは、環境サンプルの包括的な特性解析を短時間で実行することが可能となります。この方法により、リファレンス標準物質が存在しない場合でも、質量分析データベースを使用した候補化合物の仮同定が可能となります。