SCIEX Fluoros(有機フッ素化合物)ライブラリ 2.0 を使用した既知および新規 PFAS のスクリーニング

環境サンプル中のペルフルオロ化合物およびポリフルオロ化合物 (PFAS) に類する汚染物質分析の網羅性を強化

Karl A. Oetjen, Craig M. Butt, Katherine C. Hyland
SCIEX, USA

内容: 現在、世界には3000を超えるペルフルオロ化合物およびポリフルオロ化合物(PFAS)製品が出回っています。規制の変化や人をとりまく環境への懸念から、多くの環境試験所においてPFASの検出と同定は優先度が高く位置づけられています。これらの製品の中には、その環境や人体に対する影響がよく理解されていない、ないしは特徴づけられていないものがあります。さらに、分析グレードの標準物質が入手できないことも多く、対象となるメソッドの網羅性を制限しています。そのため、多くのラボラトリでは、ルーチン分析に疑わしい化合物(サスペクト)のスクリーニングのワークフローを組み込んでいます。サスペクトスクリーニングにより、ラボは実物としての標準物質を必要とせずに化合物を特徴づけるスペクトルライブラリやデータベースを用いて検索を行うことが可能となり、時間を節約しながらより網羅的にサンプルの特徴が把握できるようになります。

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方法: 汚染された水や土壌中PFAS汚染物質に対して、より完全な特性評価を行うためにデータ非依存型MS/MSスペクトル取得法(SWATH® Acquisition)を用いてサンプルを測定できます。選択性の高いプレカーサーイオンレンジを用いたアプローチにより、サスペクト化合物を見逃す可能性を減らせます。このデータ取得ストラテジーとSCIEX Fluorosライブラリ2.0を組み合わせることで、環境サンプルに対してより完全に網羅的な特性評価をおこなえるようになります。この検証済みのライブラリには、陰性、陽性、および双性イオン化合物をカバーする250以上のPFAS化合物のMS/MSスペクトルが含まれています。このライブラリは、X500Rシステム用に構築されていますが、ZenoTOF7600システム、SCIEX TripleTOF®システムおよびQTRAP®システムとも互換性があります。これらの装置とこのスペクトルライブラリを使用することで、疑わしい化合物を、精密質量、同位体、およびフラグメンテーションパターンに基づいてすばやく効率的に、信頼性高く同定することが可能です。

図 1. SCIEX Fluoros Library 2.0を使用したカバレッジの拡張。a) 既知PFASである6:2 フルオロテロマースルホン酸 (6:2 FTS) とb)新規PFASである N-SP-FHxSA が、水性膜形成泡 (AFFF) に暴露した地下水サンプルから同定されました。サンプルは、SCIEX X500R QTOFシステムのSWATH Acquisitionを使用して測定され、取得したデータは、SCIEX OSソフトウェアにてSCIEX Fluoros Library 2.0を用いて検索、ピーク処理されました。