バイオ医薬品のキャピラリーSDSゲル電気泳動分析

従来の平板ゲル電気泳動を、定量的自動化SCIEX*CEテクノロジーで置き換えることができます。

世界の製薬市場で、タンパク質製剤が占める割合は急激に増加しています。このような複雑分子には、製品の純度、不均一性、同定について正確な特性評価が必要です。評価には、安定性、有効期間、関連する製造プロセスについてのデータが含まれます。分析法開発とQA/QCにおけるタンパク質製剤の特性評価には以下が必要です。

  • 自動化された定性/定量的分析
  • 機能性の簡略化と機能効率の拡大
  • 組織と関連会社全体で世界的に移管可能な、確実かつ有効なアプリケーション

キャピラリーSDSゲル電気泳動法を用いた、高分解能で自動化された定量的タンパク質純度分析法

生物製剤解析キャピラリー電気泳動システムPA 800 Plusによって、モノクローナル抗体のサイズによる自動分離が可能となります。これにより、多大な労力を要するSDS平板ゲルを用いた従来の電気泳動法に代わって、高分解能で再現性のある定量的データを提供します。

PA 800 PlusのIgG純度試験および不均一性分析技術は、バイオ医薬品およびCROラボでモノクローナル抗体の純度試験の基準とされています。このようなキャピラリーSDSゲル電気泳動を用いた分析法は各地の様々な組織で利用され、高い精度が実現されています。IgG純度試験と不均一性試験の移管性は、複数のバイオ医薬会社が参加する試験で証明され、文献として発表されています1。

平板ゲル(上図左)とキャピラリーSDSゲル電気泳動の電気泳動図(上図右)を比較すると、後者の分解能と定量能が高いことが分かります。この試験法では、右図に示したように、還元/非還元状態において変性したタンパク質を分析することが可能です。

特許取得済みのポリマーマトリックスから成る、置き換え可能なキャピラリー電気泳動 SDS-ゲルでは以下のことが可能です。

  • 10~225kDのタンパク質に対する、定量的、高分解能、および自動分離
  • レーザー誘導蛍光検出を用いた場合、銀染色したゲルと同等の感度

高分解能のIgG分離

PA 800 plusのIgG純度および不均一性アッセイキット(Part Number A10663)は、モノクローナル抗体医薬品を開発および製造するバイオ医薬品分析化学者の協力のもと設計されました。アッセイ技術にはSDS存在下のIgG熱変性、そして高分解能キャピラリーゲル電気泳動法を用いたサイズセパレーションが含まれます。

  • 0.1%以下の不純物検出
  • IgG移動度の繰り返し精度 < 1% RSD

PA 800 plusによるIgGアッセイには、泳動系の分解能と定量に関する適合性を確認するため、一定量の非グリコシル化H鎖を持つIgGコントロール標準品を用いてのシステム適合性試験が含まれます。

高分解能のタンパク質分離

SCIEXの自動SDS-MW分析は、交換可能なゲルマトリックスを使用して、タンパク質-SDS複合体のサイズセパレーションが行えます。このゲルは、タンパク質を約10~225kDaまでの有効範囲でふるい分けします。このサイズ範囲内では、タンパク質の分子量対数は電気泳動度と比例関係にあるため、分子量が既知であるタンパク質の検量線から、未知のタンパク質の分子量を推定できます。

さらにこの技術を用いて、タンパク質を効率的に定量し、タンパク製剤の純度を決定することが可能です。

*Formerly Beckman Coulter CE

関連文献:

1."A Series of Collaborations between Various Pharmaceutical Companies and Regulatory Authorities Concerning the Analysis of Biomolecules Using Capillary Electrophoresis." Chromatographia 2006, 64, September (No. 5/6).

Salas-Solano O., Tomlinson B., Du S., Parker M., Strahan A., Ma S. "Optimization and Validation of a Quantitative Capillary Electrophoresis Sodium Dodecyl Sulfate Method for Quality Control and Stability Monitoring of Monoclonal Antibodies." Analytical Chemistry 2006, 10.1021.

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