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- タンパク質バイオ製剤の特性評価
- 糖鎖の標識と分析
タンパク質製剤の糖鎖付加は、重要な翻訳後修飾であり、タンパク質の機能、クリアランス、安定性に影響する可能性があります。糖鎖付加の変異は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)や補体依存性細胞傷害(CDC)のような免疫応答の調節と関係しています。
タンパク質製剤には微細な不均一性があるため、その同定を迅速かつ確実に行うためには、多くのグリカン類を決定できる分析メソッドが必要とされます。蛍光誘導体化法を用いることで、グリカン類は電荷と蛍光特性を持つことができ、キャピラリー電気泳動によって分離および検出が可能となります。SCIEXは、標準的なグリカン分析技術だけでなく、新たな高速分析法を提供しています。
生物製剤解析キャピラリー電気泳動システムPA 800 Plusなら、最も重要なN型糖鎖の分析をわずか3分で行うことができます。新たな高速N-グリカンのサンプル調製と組み合わせることにより、サンプル調製開始からわずか4時間でデータを取得可能です。
キャピラリー電気泳動法を用いる糖類プロファイリングには、次のようなメリットがあります。
磁性ビーズ技術をクリーンアップに利用する、全く新しいサンプル調製法を用いることで、N-結合型糖鎖サンプル調製およびワークフローを4時間未満で完了できるようになりました。本サンプル調製法がもたらすメリットは、遠心分離や遠心蒸発乾固を省くことができるという点であり、結果としてBeckman Coulter’s Biomekプラットフォームのような、完全に自動化された液体サンプル処理システムと組み合わせることが可能です。さらにこの方法では、高度にシアル化された糖類も確実に誘導体化され検出できます。また、過剰な誘導体化試薬(APTS色素)は確実に分離されます。
PA 800 Plusの糖鎖誘導体化と分析アッセイには、糖タンパク質から解離したオリゴ糖類の標識、分離、定量化に必要な関連試薬/バッファ、N-結合型オリゴ糖類分析用分離キャピラリーが含まれます。糖鎖解離(酵素的または化学的)の後、還元的アミノ化反応を用いて、グリカン類の還元末端に1-amino 3, 6, 8 - pyrene trisulfonic acid (APTS) による標識を行います。1分子のAPTSが各グリカン分子に付加されています。高度に電荷を持った蛍光オリゴ糖類は、電場中で容易に分解され、レーザー誘導蛍光で検出されます。APTSで誘導体化されたグリカン類は、レーザー励起蛍光検出器を通過する際に同等の蛍光応答を生じ、相対量を直接比較することができます。タンパク質と結合するオリゴ糖類の数から、タンパク質の同定、品質評価または機能の解釈に使用可能なデータを得ることができます。PA 800 Plusなら、タンパク質の微細な不均一性の定量的かつ確実な分析が容易に実施でき、分析時間も平均15分未満に抑えることが可能です。
標準的方法:オリゴ糖類分析法の簡略化
システムおよびアプリケーションの特長:
分離用バッファに変更を加えることで、各オリゴ糖類間の分離を改善でき、結果として同定能と定量能の向上につながります。右図では、この最適化した糖類分離方法を用いて、最大18種類のグリカン類をそれぞれ決定しました。
高マンノース型リボヌクレアーゼBの分析
ウシのリボヌクレアーゼBから解離し、APTSで標識した、高マンノース型オリゴ糖類の分離
キャピラリー:50cm(有効長)x50um N-CHOキャピラリー、泳動液:0.4% polyethylene oxideを含む25mM 酢酸緩衝液(pH 4.75) 、印加電圧:500 V/cm、温度: 20 °C、検出:レーザー誘導蛍光 (励起 488 nm、蛍光520nm)
単糖類組成の分析により、糖タンパク質の初回特性評価において重要な情報を得ることが可能です。SCIEXのキャピラリー電気泳動を用いた分析法の大きな利点は、アッセイの特異性にあります。還元アミノ化とオープンチューブフォーマットによって、糖タンパク質の加水分解物から直接分析を行うことができ、加水分解後の洗浄が不要です。APTSの誘導体化とレーザー誘導蛍光検出によって、各単糖が同様の蛍光応答となるため、相対量を直接比較することができます。
アルドラーゼ処理後のフェチュインの弱酸性加水分解産物(A)、再アセチル化後の強酸性加水分解産物(B)、単糖類標準品(C)、のCEによる分離
キャピラリー:27cmx25um溶融シリカ、泳動液::240mMホウ酸緩衝液(pH9.0)、印加電圧:740V/cm、注入:0.5psi 5秒、検出:レーザー誘導蛍光(励起488nm、蛍光520nm)
キャピラリー電気泳動の溶液ベースの分析法によって、タンパク質の糖鎖付加状態の差異を直接糖タンパク質レベルで評価する環境が容易に作成できます。ホウ酸塩を添加することで、糖変異体の荷電状態を増幅する複合体を形成することが可能です。これは糖タンパク質の不均一性を評価するための、もっともシンプルな方法です。