農薬と除草剤による水資源の汚染は公衆衛生上極めて重大な問題であり、液体クロマトグラフィータンデム質量分析（LC-MS/MS）のような感度と精度の高い試験法を必要とします。

潔な水が生活に必要不可欠であることは明白です。しかし、水質は数千種類を超える化学汚染物質によって脅かされています。例えば、多くの農地には適切な排水システムが整備されていますが、異常降雨による雨水やかんがい用水を常に農地構造内に留めておけるとは限りません。問題はここから始まります。残留する農薬や除草剤が農地から流出して地下水に混入し、広い範囲で水源を汚染する可能性があります。農薬は庭や芝生にも広く使用されており、農地の場合と同様に水源に流出する可能性があります。これらの汚染物質は健康リスクとなる可能性があります^1,2

しかもそのリスクが高いことを私たちは知っています。たった1滴の農薬（除草剤、殺虫剤、燻蒸剤など）でも許容基準値を容易に超過し、さらにこれらの農薬が飲料水に混入した場合の健康への影響が懸念されます³ 。

感度の高い水試験法

LC-MS/MS技術を使用することで科学者や研究者による水中の低濃度の農薬の解析が可能となり、得られた情報を利用してヒトの健康に関するリスク評価が行えます。感度と精度の高いSCIEXのLC-MS/MSソリューションは、水源から飲料水まで、水中の極めて幅広い種類の汚染物質の効率的な試験とモニタリングを可能にします。水の試験では通常、規制当局が要求する極めて低い検出限界を満たすために、長時間に及ぶサンプル調製が必要です。水の品質試験を行うラボではSCIEXのLC-MS/MSソリューションにより以下の利点が得られます。

• 水サンプルを直接注入できるシンプルなワークフローは最小限のサンプル調製しか必要としません
• 感度の向上によりサンプル中のトレースレベルの化合物を高い信頼性で検出できます
• フレキシブルで頑健な定性および定量性能特性により、汚染物質の標的・非標的スクリーニングが同時に行えます
• 農薬、除草剤、医薬品、有機塩素化合物、工業化学物質、錯化剤、さらには未知の分解生成物や化学副産物など、多様なクラスの化合物を1回の注入で解析できます

1. Porter, W.P.; Jaeger, J.W.; Carlson, I.H. Endocrine, immune, and behavioral effects of aldicarb (carbamate), atrazine (triazine) and nitrate (fertilizer) mixtures at groundwater concentrations. Toxicol Ind Health 1999, 15, 133–150. doi: 10.1191/074823399678846691
2. Chèvre, N.; Loepfe, C.; Singer, H.; Stamm, C.; Fenner, K.; Escher, B.I. Including mixtures in the determination of water quality criteria for herbicides in surface water. Environ Sci Technol. 2006, 40, 426–435. doi: 10.1021/es050239
3. Younes, M. and Galal-Gorchev, H. Pesticides in Drinking Water—A Case Study. Food and Chemical Toxicology 1 Apr. 2000, 38 (1), 87–90. doi: 10.1016/s0278-6915(99)00132-5