アレルゲンが食物連鎖に入り込むリスクを最小限に抑える予防措置として、信頼性の高い食物アレルゲン分析の必要性は極めて重大です。

今日、多くの人々が何らかのアレルギーに苦しんでいます。例えば、米国では小児（18歳未満）の約13人に1人が何らかのアレルギーを有しています。つまり、各クラスにアレルギーを有する子供が約2名いるということになります！さらに、アレルゲンへの曝露は、アナフィラキシーとして知られる生命を脅かすアレルギー反応を引き起こす可能性があります。このような現状を考慮に入れ、公共の健康や安全のために、世界の規制機関は食品メーカーおよび生産者に対し、より正確な製品ラベルを提供するよう求めています。

例えば、欧州食品安全機関（EFSA）は食品メーカーに対し、グルテン、牛乳および乳製品、卵、ナッツ、ピーナッツ、大豆、魚、甲殻類、軟体動物、セロリ、ルピナス、ゴマ、カラシおよび亜硫酸塩を含有する包装製品のラベル表示を義務付けています。一方、米国食品医薬品局（FDA）は、食品メーカーに対し、最も一般的な8種類のアレルギー性食品、すなわち牛乳、卵、魚、甲殻類、ナッツ類、ピーナッツ、小麦および大豆を明確に記載するよう義務付けています。

さらに、FDAは食物アレルギーに対する真の治療法はないとしています。罹患者数が増加し続ける中、唯一有効な対策は食物アレルゲンを厳格に回避することです。したがって、アレルギー患者は、有害反応を回避するための予防措置として、正確な食品表示に大きく依存せざるを得ません。しかし、時に表示されていないアレルゲンが食品に入り込み、原料の相互接触などにより事態がさらに複雑になる場合があります。例えば、ピーナッツを含まない食品が、ピーナッツを含む製品を包装する施設と同じ施設で包装される場合があります。そうすると、2つの製品とその原料間の交叉汚染(混入)が生じる可能性があります。食品メーカーがこのような事例を明示しないと、見過ごしが生じ、消費者の健康リスクおよびメーカーの風評リスクにつながる可能性があります。このように、原因を見つけ出すことは容易ではなく、食品メーカーは食品検査ラボと密接に連携して、これらのアレルゲンの追跡および正確な同定に努めています。

食品安全性のためのアレルゲン分析における進歩
食品検査室では、食物アレルゲンのスクリーニングのためにいくつかの技術が使用されていますが、LC-MS/MS分析と同程度の検出力を有するワークフローはほとんどありません。SCIEXでは、さまざまな食品（生鮮食品およびベーカリー製品）中の複数のアレルゲンを同時に分析できるように、液体クロマトグラフィ（LC）とタンデム質量分析の組み合わせ（LC-MS/MS）を使用したマルチアレルゲンスクリーニング法を提供しています。

SCIEXでは、より安全な食品生産と正確な食品表示を可能にするための方法とワークフローの開発に常に取り組んでいます。このような取り組みの証として、当社の高感度食物アレルゲン分析法がAOAC INTERNATIONALのOfficial Methods Board（OMB）からFirst Action Official Method (FAOM)として分類されたことは、当社の誇りです。