

バイオ医薬品(生物製剤)は、一般的には動物細胞株を用いて生産されています。その生産の過程において宿主細胞由来のタンパク質が医薬品と共に精製されてしまい、混入する可能性があります。これら残留した宿主細胞由来タンパク質(HCP)は医薬品の安全性に有害な影響を及ぼす可能性があります。そのためバイオ医薬品(生物製剤)の開発において、混入したHCPを正確に同定し定量することは極めて重要とされています。
一般的な分析手法は、宿主細胞のポリクローナル抗体を用いて開発されるELISAアッセイです。こうしたアッセイでは、開発に数ヶ月かかることがありますが、通常HCPの大多数、特に存在量が非常に多いタンパク質または高い免疫原性を有するタンパク質を検出することができます。しかし、ヒトに免疫原性を示す未検出のタンパク質が重篤な免疫反応を引き起こす可能性があるため、 「大多数」で は最終的なバイオ医薬品(生物製剤)の安全性を確保するのに十分とは決して言えません。
結果として、LC-MS/MS、CESI-MS/MSのような異なる検出手法またはモニタリング技術が、ELISA手法を補うために普及してきました。LC-MS/MSは、バイオ医薬品(生物製剤)中のHCPを十分に検出し特性解析できるだけでなく、取得したデータから直接個々のタンパク質の同定情報を得ることができます。この点が、単にHCPの総量の数値だけがわかる現行のELISAベース手法との大きな違いだと言われています。
SCIEXは、SCIEX TripleTOF®精密質量分析システムによるSWATH® Acquisitionを用いたパワフルなソリューションをご提供することができます。このデータ非依存型取得(DIA)なら、これまでは未知だった、或いは動物実験において免疫原性反応を示さなかったような微量のHCPを網羅的に検出することができます。
SCIEXは、微量の宿主細胞由来タンパク質(HCP)を分析する上で直面する課題に対処し、先進的なソリューションをご提供することができます。そして、生産性の向上に役立つ実績のあるテクノロジーで、安全なバイオ医薬品(生物製剤)を開発されるためのお力になります。
SCIEX TripleTOFシステムによるSWATH Acquisitionは、データ非依存型取得(DIA)であり、この手法なら、これまで未知であった微量のHCPを網羅的に検出することができます。また重要なことに、SWATHデータファイルは包括的な性質を持つことから、作成されるデジタル記録はサンプルの現状態のデジタルアーカイブとして使用することができます。将来起こる可能性のあるタンパク質混入の懸念は、データを遡って検索することにより経時的に追跡することができます。再分析用に実サンプルを保存する必要はありません。
バイオ医薬品(生物製剤)の製造工程に由来する不純物である宿主細胞由来タンパク質(HCP)は、その濃度が低ppmレベルであるため、検出が困難な場合があります。CESI-MSでは、nL/minの超低流速で送液することによりイオン化効率を向上させ、これら存在量の少ないHCPの検出感度を大幅に高めることができます。
研究開発プログラムのスケジュールを効率的に進めていくには、混入したHCPを迅速に同定、定量し、追跡できる必要があります。網羅的なSWATH Acquisitionメソッドなら、時間のかかる複雑な測定メソッドの事前開発やサンプルを分画する必要がなく、安定して微量のHCPを検出することができます。一度ペプチドのスペクトルライブラリーを作成してしまえば、プロテアーゼで消化したサンプルをLC-MSまたはCESI-MSの簡単なメソッドで測定するだけです。より複雑な2D(二次元)分画手法と比較して、時間とコストを節約することができます。
The additional sensitivity of the TripleTOF 6600 is another advantage, as the quantity of host cell proteins is minute in comparison to the amount of drug product. SWATH analysis is just perfect for that kind of sample. It’s a huge benefit
-Thomas Kofoed, Chief Executive Officer, Alphalyse
医薬品に混入する可能性のある宿主細胞由来タンパク質のモニタリングを担当される皆様は、微量のタンパク質を同定し、製造過程においてそれらの存在をモニターすることで、医薬品が販売される前にそれらが除去されていることを確認されています。SCIEXは、存在量の非常に多いアナライトと非常に少ないアナライトの両方を含む複雑なサンプルをより詳細に調べることができるソリューション、1回のインジェクションで信頼性を持って宿主細胞由来タンパク質を見つけてモニターできるソリューションをご提供することができます。
宿主細胞由来タンパク質(HCP)を同定しモニターされたい皆様には、高感度、卓越したリニアダイナミックレンジ、超高速データ取得機能を兼ね備えたTripleTOF6600システムがニーズに最適なテクノロジーです。網羅的なSWATH Acquisitionにより、検出可能なすべてのサンプル成分の高分解能MSおよびMS/MSスペクトルが取得でき、混入したHCPのタンパク質同定をすることができます。開発の初期ステージ、またはサンプルが限られた環境で業務されている場合、TripleTOF6600システムを超低流速のCESIと組み合わせることで、感度を最大化し1uL未満のサンプル量で測定を行うことができます。開発の後期ステージで業務されている場合は、TripleTOFシステムをマイクロフローまたは従来のハイフローLCシステムのいずれかと組み合わせて、アッセイのスループットを最大化することができます。
キャピラリー電気泳動(CE)とエレクトロスプレーイオン化(ESI)を統合したCESIなら、nL/minという超低流速でイオン化効率が改善され、HCP検出の感度を向上。
ExionLC ADシステムは、製薬およびアカデミア研究機関の皆様のニーズを満たす拡張性、頑健性、キャリーオーバーに関する優れたパフォーマンスを発揮。
タンパク質のデータベース検索を行い同定するソフトウェア。ProteinPilotを用い、宿主細胞プロテオームに関する網羅的なペプチドのスペクトルライブラリを作成。このスペクトルライブラリは、その後のすべてのSWATH測定で使用可能。
SCIEX独自のVariable Window SWATH® Acquisition(可変ウィンドウSWATH® Acquisition)なら、サンプル中の検出可能なすべてのペプチドの高速かつ高分解能なMS / MSデータを1回のインジェクションで取得可能。これまでは未知だったHCPの検出が可能。
ラーニングセンター | |
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テクニカルノート: CESI-MSを用いたSWATH Acquisitionによる超高感度な宿主細胞由来タンパク質の検出 | ダウンロードはこちらから |
Webinar: 1ppm未満でも苦労しないHCPの検出 | 動画の視聴はこちらから |
Webinar: シンプルな1時間 のSWATH® Acquisitionメソッドを用いた、1桁ppmレベルで混入した宿主細胞由来タンパク質の同定 | 動画の視聴はこちらから |
ポスター: データ非依存型取得のSWATH Acquisitionを用いたHCP検出の効率化 | ダウンロードはこちらから |
ポスター: データ非依存型取得によるペプチドマッピングと宿主細胞由来タンパク質検出の同時分析 | ダウンロードはこちらから |